品質保証部 品質管理グループ 大久保さん、倉持さん
東洋工芸の「快適」「便利」「安全」を支える品質保証部 品質管理グループ。今回は在籍40年以上の大ベテランの大久保さんと、その背中を追う倉持さんにお話をお聞きします。
お客様の期待に応える品質管理の仕事
倉持さん:
製造部での1年半を経て、2019年に品質保証部に配属されました。製造現場で出てきた不適合品や不良品などの確認、品質検査の試験をかけたりなどが主な業務です。
現在は一通りのことを任されるようになりましたが、まだ自分が経験していないことや自分だけでは解決できないことに遭遇した場合には大久保さんに質問したり、アイデアをもらったりしています。
大久保さん:
私は1982年に入社し、現在は再雇用で品質管理に関わる広い範囲を網羅的に見ています。実施中の試験があれば倉持くんにその状況を確認したり、新しい試験が出てくれば指示を出したりしています。あとはクレーム対応や有償修理など、お客様とのやり取りも多いです。品質保証部に配属される前は18年間、設計を担当していましたので、開発や設計が主体となる会議にも参加し、早い段階で品質管理の観点を織り込んでいます。
快適や安全を支える品質管理の「知恵くらべ」
倉持さん:
新しい製品が出てきたときには、その製品に合った試験を行う必要があります。当社には用途ごとの試験機がありますが、通常のものとは異なる形状のイスがあった場合には、それらを応用しなければならない場合もあります。例えば、試験機の動作方向をオリジナルの治具を用いて変換する方法など、大久保さんの発想の転換や工夫する力を見習いたいと感じています。
大久保さん:
品質管理の仕事は知恵比べのような要素が強いのです。
当社ではイス以外にも自社オリジナルの「かけまくり」という石こうボード用の超強力画びょうなども取り扱っていますので、試験規格がないものもあります。そのような製品に対しては、実際にお客様がどのように利用されるかを考え、実用上問題のないレベルの強度であるかを検査します。
このような試験を外部の試験場に依頼することも可能ですが、費用や時間がかかるのみならず、そもそも該当する試験項目がなく、ありきたりな項目で対応するケースも出てきてしまうのです。そのため、当社ではオリジナルの試験を行うことも多々あります。
倉持さん:
配属されたばかりの頃は、JIS規格に書かれている項目を見て「なぜこのような規格になったのか」を疑問に感じ、その答えを知ると面白いなぁと感じていました。
オリジナルの試験では、隣で大久保さんが治具(試験を行うための装置、その補助工具など)を作っている様子を目にします。その方法は自分では思いつかないようなものばかり!
大久保さん:
設計をやっていたこともあり、私は紙にスケッチするのが好きですね。あとはデータにして、倉持くんに渡すと3Dプリンターで出力してくれる。そして、オリジナルの試験をやろうと思うと、材料がいる。捨てればゴミになるようなアルミの残骸や切ったパイプなど、製造現場で使われなくなった端材は使えば立派な材料で、立派な試験治具になるのです。
ワーク&ライフ&ものづくり
倉持さん:
私は、週末などのオフはクライミングに出かけます。トレーニングが欠かせないので、自宅にトレーニング用のボードを設置することにしましたが、壁に取り付けるためには土台が必要でした。工業系の高校だったので基礎的なものづくりの知識があり、取り付けること自体は難なくできました。これまでとの違いは、仕事の中で荷重検査などを経験し強度への理解が深まったこと。今回取り付けたものは100kgくらいまでは大丈夫だと思っています。
大久保さん:
小さい時からものづくりが好きでしたね。
1985年12月号から約10年間、ラジオコントロール模型の専門誌『ラジコン技術』で記事を書かせてもらっていました。ラジコン飛行機を「作って、書けて、飛ばせる」ができないと、この記事は書けません。学生時代から数々の曲技飛行の競技会にも参加しました。
挿入している制作工程の写真は、自分で作りながら撮影したもの。当時はデジタルカメラがなかった時代なので、もちろんフィルムカメラ。現像して写っていなかったら、機体をバラバラにするわけにはいかないので一発勝負です。そして、完成したら、編集部の担当者と飛行場で待ち合わせして飛ばし、撮影する。
高校の時は勉強そっちのけで、寝ても覚めてもラジコン飛行機ばかりでした。それで大学も機械工学を専攻し、バイト代もすべてこれに投じてきました。
新しい技術とアイデアで、更なる品質を追い求める
倉持さん:
不適合検査を行う中で、寸法管理などのグラフ化や自動化により品質向上に関心が高まっています。理想は全数の寸法管理ですが、すぐには難しいと思うので、はじめ・中間・終わりなどの要所要所で、部品の状態を追えることができれば良いと考えています。
カメラやAIなどの技術も発達してきているので、人が測らなくても自動でできるようになるのではないかと、部門を超えてアイデアを共有しています。
大久保さん:
若い社員たちが前向きに新しいことに取り組んでくれているので、私もいくらでも後押ししたいですね。時代によって、技術や方法も変わりますので、変化に対応することは大切だと思います。ただ新しい技術は費用が関係することもあるので、場合によっては考え方のみを取り入れるなど幅広い発想を持つことも必要です。まさに「知恵くらべ」ですね。
2023年7月掲載